【Rails×JWT】UserクラスからJWTを扱うTokenizableモジュールの作成
  • 2020.10.01に公開
  • Udemy
  • 12. サーバーサイドのログイン認証
  • No.5 / 8

今回達成すること

今回はTokenizable(トークナイザブル)モジュールを作成します。

このモジュールは、トークンの発行と発行主の検索を行います。

Userクラスからインクルードすることで

  • ユーザーのトークンを発行する場合は => user.to_token
  • トークンからユーザーを検索する場合は=> User.from_token(token)

のように、Userクラスからトークンを扱えるようになります。

モジュールファイルを作成する

まずは「app/services」ディレクトリの「user_auth」ディレクトリ直下にtokenizable.rbファイルを作成します。

root $ touch api/app/services/user_auth/tokenizable.rb

作成後の「user_auth」ディレクトリ内はこのようになっています。

api/app/services/user_auth
├── auth_token.rb
├── authenticator.rb
└── tokenizable.rb

Tokenizableモジュールを作成する

まずは、tokenizable.rbUserAuthを継承したモジュールを宣言します。

api/app/services/user_auth/tokenizable.rb(以下、省略)
module UserAuth
  module Tokenizable
  end
end

Userクラスからメソッドを呼び出す用意

Userクラスから、Tokenizableモジュールのメソッドを呼び出せるようにself.included(インクルーディッド)メソッドを作成します。

module UserAuth
  module Tokenizable
    # 追加
    def self.included(base)
      base.extend ClassMethods
    end

    ## class method
    module ClassMethods
    end
    # ここまで
  end
end
  • self.included ... クラスにモジュールが含まれている場合、このメソッドが実行される。

    UserクラスでTokenizableをインクルードした時にbase.extend ClassMethodsが実行されます。

    参考: RubyMixinチュートリアル - Juixe Techknow

  • base.extend ClassMethods ... ClassMethodsextendする。

    これにより、UserクラスにClassMethodsモジュール内のメソッドが追加されます。

self.includedのまとめ

  • include => クラスのインスタンスにメソッドが追加され、

  • extend => クラスメソッドが追加されます。

    参考: RailsTips

つまり、Userクラス内でinclude UserAuth::Tokenizableを実行した時に、userインスタンスとUserクラスにTokenizableのメソッドが追加されます。

クラスメソッドを作成する

Userクラスから呼び出すクラスメソッドには、渡されたトークンからユーザーを検索するfrom_tokenメソッドを追加します。

module UserAuth
  module Tokenizable
    def self.included(base)
      base.extend ClassMethods
    end

    ## class method
    module ClassMethods
      # 追加
      def from_token(token)
        auth_token = AuthToken.new(token: token)
        from_token_payload(auth_token.payload)
      end

      private
        def from_token_payload(payload)
          find(payload["sub"])
        end
      # ここまで
    end
  end
end
  • from_token_payload ... トークンをデコードしたpayloadのユーザーID(sub)からユーザーを検索し返す。

インスタンスメソッドを作成する

userインスタンスから呼び出すメソッドには、ユーザーのトークンを返すto_tokenメソッドを追加します。

	  ...
      private
        def from_token_payload(payload)
          find(payload["sub"])
        end
    end

    # 追加
    ## instance method
    # トークンを返す
    def to_token
      AuthToken.new(payload: to_token_payload).token
    end

    private
      def to_token_payload
        { sub: id }
      end
    # ここまで
  end
end

以上で、トークンの発行とデコードを行うメソッドが作成できました。

有効期限付きのトークンを返すメソッドの作成

会員登録時のメール認証やパスワードリセットなどは、セキュリティを考慮してトークンの有効期限を短めに設定する必要があります。

その際に使用する「有効期限付きのトークン」を発行するto_lifetime_tokenメソッドを作成します。

api/app/services/user_auth/tokenizable.rb
    ...
    def to_token
      AuthToken.new(payload: to_token_payload).token
    end

    # 追加
    # 有効期限付きのトークンを返す
    def to_lifetime_token(lifetime)
      auth = AuthToken.new(lifetime: lifetime, payload: to_token_payload)
      { token: auth.token, lifetime_text: auth.lifetime_text }
    end

    private
    ...

このメソッドは、トークン(token)と有効期限の日本語テキスト(lifetime_text)を返します。

lifetime_textは、「2時間」などの文字列を返します。

この文字列は、メール本文やフロントに渡す「2時間以内に下記URLへアクセスしてください」のようなメッセージに埋め込む際に使用します。

AuthTokenクラスにlifetime_textメソッドを追加する

lifetime_textメソッドをauth_token.rbに新たに追加します。

api/app/services/user_auth/auth_token.rb
    ....
    def entity_for_user
      User.find @payload["sub"]
    end

    # 追加
    # token_lifetimeの日本語変換を返す
    def lifetime_text
      time, period = @lifetime.inspect.sub(/s\z/,"").split
      time + I18n.t("datetime.periods.#{period}", default: "")
    end

    private
		...
  • @lifetime.inspect.sub(/s\z/,'').split

    • inspect ... オブジェクトを人間が読める形式に変換した文字列を返す。

      2.hoursを「"2 hours"」に変換します。

    • sub(/s\z/,'') ... "2 hours"から「s」を削除し、「"2 hour"」に変換しています。

    • split ... 「"2 hour"」を空白で区切り、配列にしています。["2", "hour"]

    以上で、timeには「"2"」の文字列、periodには「"hour"」の文字列が入ります。

  • I18n.t(パス, default: デフォルト値) ...「"hour"」を日本語変換するために、 i18nの日本語化ファイルを呼び出しています。

    何もなければ、空の文字列を返すようデフォルト値(default: "")を指定しています。

i18nの日本語化ファイルに期間を追加する

i18nの日本語化ファイルja.ymlに、periodsを追加します。

datetimeの下でerrors:の上あたりに追加してください。

api/config/locales/ja.yml
  ...
  datetime:
    ...
    prompts:
      second: 秒
      minute: 分
      hour: 時
      day: 日
      month: 月
      year: 年
    # 追加
    periods:
      second: 秒
      minute: 分
      hour: 時間
      day: 日
      week: 週間
      month: ヶ月
      year: 年
    # ここまで
  errors:
		...

以上で有効期限付きのトークンを返すメソッドが作成できました。

userモデルでインクルードする

それでは作成したTokenizableモジュールをuser.rbからインクルードします。

api/app/models/user.rb
require "validator/email_validator"

class User < ApplicationRecord
  # include 追加
  include UserAuth::Tokenizable
  before_validation :downcase_email
	...

コンソールで確認してみよう

ユーザークラスで作成したメソッドが使えるかRailsコンソールで確認してみましょう。

root $ docker-compose run --rm api rails c

ユーザーインスタンスからトークンを発行してみます。

> user = User.find(1)
> token = user.to_token
> token
=> "eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9.ey..."

次はクラスメソッドでこのトークンの持ち主を探してみましょう。

> User.from_token(token)
=>
+----+-------+---------------+----------------+-----------+-------+---------------+----------------+
| id | name  | email         | password_di... | activated | admin | created_at    | updated_at     |
+----+-------+---------------+----------------+-----------+-------+---------------+----------------+
| 1  | user0 | user0@exam... | $2a$12$rYae... | true      | false | 2020-08-25... | 2020-08-25 ... |
+----+-------+---------------+----------------+-----------+-------+---------------+----------------+

無事、ID1を持つユーザーが返されました。

続いて有効期限付きのトークンを発行してみましょう。

> user.to_lifetime_token(2.hours)
=> {:token=>"eyJ0eXAiOiJKV1Q...", :lifetime_text=>"2時間"}

うん、上手く行っていますね。

「ほんまに2時間かぁ?」と思った方はトークンをデコードしてpayloadを確認してみてください。

> token = user.to_lifetime_token(2.hours)
> payload = UserAuth::AuthToken.new(token: token[:token]).payload
> Time.at(payload["exp"])
=> 2020-09-30 17:14:44 +0900

このメソッドを使えば、認証メッセージが簡単に作成できます。

> "#{token[:lifetime_text]}以内に認証してください。"
=> "2時間以内に認証してください。"

確認が取れたらコンソールから抜けましょう。

> exit

以上で今回の作業は終了です。

コミットしとく

コミットしておきましょう。

root $ cd api
api $ git add -A && git commit -m "add_tokenizable.rb" && cd ..
root $

まとめ

今回は、トークンをUserクラスで簡単に扱えるように、Tokenizableモジュールを作成しました。

さて次回は?

次回からは、ここまで作成したモジュール群が正しく機能しているか、認証関連一式のテストを行います。

お楽しみじゃ!(GoToBottom↓)

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