今回達成すること
email
カラムにカスタムバリデーションを設定していきます。
RailsではEachValidatorClass(イーチバリデータクラス)
が用意されており、このクラスを使うと独自のバリデーションを設定することができます。
最終的なコードは記事下部にあります。
カスタムバリデーション事前準備
まずはカスタムバリデーションを作成するファイルを作成しましょう。
「lib」ディレクトリ配下にバリデータファイルを置く「validator」ディレクトリを作成します。
その「validator」ディレクトリに
root $ mkdir api/lib/validator && touch $_/email_validator.rb
EachValidatorClassの命名規則
作成された
api/lib/validator/email_validator.rb
class EmailValidator < ActiveModel::EachValidator
end
-
EmailValidator
...EachValidator
クラスを継承した自作クラス。このクラス名は
<呼び出し名>Validator
という形で宣言します。EmailValidator
は、email
で呼び出しが可能です。
ユーザーモデルからの呼び出し
クラスを定義したのでemail
のバリデーションを追加し、EmailValidator
クラスを呼び出しましょう。
api/app/models/user.rb
# 追加
require "validator/email_validator"
class User < ApplicationRecord
...
# validates
validates :name, presence: true,
length: { maximum: 30, allow_blank: true }
# 追加
validates :email, presence: true,
email: { allow_blank: true }
...
end
Rails6からの「lib」ディレクトリ以下のファイル読み込み
Rails6のデフォルトでは「lib」ディレクトリ以下のファイルは読み込まれません。
読み込むには2つの方法があります。
1. requireで呼び出し
今回のように読み込みたい場所でrequire
を宣言する方法です。
Railsがデフォルトで読み込むパスには「app/lib」まで設定されていますので、それ以下のファイルパスを渡します。
-
api/lib/validator/email_validator.rb
の場合=>
"validator/email_validator.rb"
のパスを渡す。
2. application.rbで呼び出し
Rails6のオートロードシステム「Zeitwerk(ツァイトベルク)」に読み込みパスを追加する方法もあります。
具体的には
api/config/application.rb
module App
class Application < Rails::Application
...
# Zeitwerk(ツァイトベルク)にvalidator配下のファイルを読み込ます
config.autoload_paths += %W(#{config.root}/lib/validator)
end
end
多数のファイルがある場合は、この方法を使うとrequire
地獄から抜け出せます。
ただこの方法、完全に非推奨とは書かれていませんがあまりおすすめもされていません。
自動読み込みパスの配列は、
config/application.rb
のconfig.autoload_paths
を書き換えることで拡張可能ではありますが、やめておきましょう。
validate_eachメソッドの追加
validate_each
メソッドを追加します。
これはカスタムバリデーション用にRailsが用意しているメソッドです。
api/lib/validator/email_validator.rb
class EmailValidator < ActiveModel::EachValidator
def validate_each(record, attribute, value)
end
end
validate_eachメソッドの3つの引数
validate_each
メソッドの引数の中身を確認します。
デバッグbinding.pry
を追加しましょう。
api/lib/validator/email_validator.rb
class EmailValidator < ActiveModel::EachValidator
def validate_each(record, attribute, value)
# 追加
binding.pry
end
end
仮ユーザーの保存
それではRailsコンソールに入って仮ユーザーを保存します。
root $ docker-compose run --rm api rails c
> user = User.new(name: "test", email: "test@example.com", password: "password")
> user.save
binding.pry
を追加すると実行が止まるので 、この状態で引数の中身を確認します。
2: def validate_each(record, attribute, value)
3: # 追加
4: binding.pry
=> 5: end
record
ここにはユーザーオブジェクトが入ります。
メソッドの呼び出しなどに使います。
> record
=> #<User:0x0000560ec9db5aa0
id: nil,
name: "test",
email: "test@example.com",
password_digest: "[FILTERED]",
activated: false,
admin: false,
created_at: nil,
updated_at: nil>
attribute
これには属性が入ります。
この属性はエラーメッセージにも使われます。
> attribute
=> :email
value
ユーザーが入力した値が入ります。
この引数は文字数検証などに使います。
> value
=> "test@example.com"
ここまで確認取れたらデバッグから抜けましょう。
> exit
カスタムバリデーション設定
それでは実際にメールアドレスのバリデーションを3つ設定していきます。
1. メールアドレスは255文字まで
まずは文字数制限のバリデーション。
api/lib/validator/email_validator.rb
class EmailValidator < ActiveModel::EachValidator
def validate_each(record, attribute, value)
# 追加
# text length
max = 255
record.errors.add(attribute, :too_long, count: max) if value.length > max
end
end
-
if value.length > max
... もし、入力値の文字数がmax(255)を超えた場合に、 -
record.errors.add(属性, メッセージ)
... バリデーションエラーを発生させます。-
attribute
...email
属性を指定しています。属性を指定することで、「メールアドレスは...にしてください」という属性が入ったメッセージを表示することができます。
-
:too_long, count: max
... エラーメッセージを指定しています。(次回記事にて追加)引数に
count:
を持たせることで「255文字まで」というメッセージを出力することができます。
-
2. メールアドレスの書式チェック
書式をチェックするバリデーションを追加します。
api/lib/validator/email_validator.rb
class EmailValidator < ActiveModel::EachValidator
def validate_each(record, attribute, value)
...
# 追加
# format
format = /\A\w+([-+.]\w+)*@\w+([-.]\w+)*\.\w+([-.]\w+)*\z/
record.errors.add(attribute, :invalid) unless format =~ value
end
end
-
=~
... 文字列と正規表現が一致するかを判定するRubyの演算子。もし不一致の場合にエラーが発生します。
-
format
... メールアドレスの書式チェック用正規表現。この正規表現は、日本語メールなどの特殊なメールアドレスがエラーとなります。
3. アクティブなメールアドレスは1つのみ
一意性を保つバリデーションを追加します。
api/lib/validator/email_validator.rb
class EmailValidator < ActiveModel::EachValidator
def validate_each(record, attribute, value)
...
# 追加
# uniqueness
record.errors.add(attribute, :taken) if record.email_activated?
end
end
-
email_activated?
... 登録したメールアドレスと同じメールアドレスの認証済みユーザーが既にいる場合、true
を返すメソッド。このバリデーションの目的は、メール認証済みのユーザーが何度も会員登録できないようにするためです。(下記で作成)
アクティブユーザーを判定するメソッドの作成
アクティブユーザーとは、メール認証が完了しアクティブフラグ(activated
)がtrue
となっているユーザーのことです。
このアクティブユーザーは常に1人だけの状態にしないと、Railsがログインユーザーを正しく認識できません。
登録されたメールアドレスと同じメールアドレスのアクティブユーザーがいた場合にtrue
を返すメソッドを作成します。
api/app/models/user.rb
require "validator/email_validator"
class User < ApplicationRecord
...
# ここ以下追加
## methods
# class method ###########################
class << self
# emailからアクティブなユーザーを返す
def find_activated(email)
find_by(email: email, activated: true)
end
end
# class method end #########################
# 自分以外の同じemailのアクティブなユーザーがいる場合にtrueを返す
def email_activated?
users = User.where.not(id: id)
users.find_activated(email).present?
end
end
-
find_activated(email)
... クラスメソッド。User
クラスから呼び出します。こちらは引数のメールアドレスと同じ、かつアクティブなユーザーを一人取り出します。
-
email_activated?
... インスタンスメソッド。user
オブジェクトから呼び出します。自分と同じメールアドレスのアクティブなユーザーがいた場合に
true
を返します。
以上でメールアドレスのバリデーション設定が完了しました。
メールアドレスを検証前に小文字化する
ユーザーによってはメールアドレスを大文字で入力したり、意図せず大文字が混ざってしまったりする場合もあります。
Railsは同じメールアドレスでも大文字・小文字で違うものと判定するため一意性が保証できません。
そこでメールアドレスは検証前に全て小文字にするようbefore_validation
を追加します。
api/app/models/user.rb
require "validator/email_validator"
class User < ApplicationRecord
# Userクラスの一番上に追加
# バリデーション直前
before_validation :downcase_email
...
# Userクラスの一番下に追加
private
# email小文字化
def downcase_email
self.email.downcase! if email
end
end
-
before_validation :<メソッド名>
... バリデーション前に渡されたメソッドを実行する。 -
downcase!
... 文字列を小文字にして書き換える。(破壊的)
コンソールで確認してみよう
メールアドレスのバリデーションがうまくいっているかRailsコンソールで確認してみましょう。
root $ docker-compose run --rm api rails c
255文字以上だとでエラーを吐いているか
> domain = "@example.com"
> email = "a" * (256 - domain.length) + domain
> email.length
=> 256
> user = User.new(name: "test", email: email, password: "password")
> user.save
> user.errors.full_messages
=> ["メールアドレスは255文字以内で入力してください"]
不正な書式にエラーを吐いているか
> email = "test@example@com"
> user.email = email
> user.save
> user.errors.full_messages
=> ["メールアドレスは不正な値です"]
アクティブなユーザーがいた場合エラーを吐いているか
> email = "active@example.com"
> User.create(name: "active", email: email, password: "password", activated: true)
> user = User.new(name: "test", email: email, password: "password")
> user.save
> user.errors.full_messages
=> ["メールアドレスはすでに存在します"]
メールアドレスは小文字になっているか
> email = "TEST@test.COM"
> user = User.new(name: "test", email: email, password: "password")
> user.save
> user.email
=> "test@test.com"
OK!!ここまでの設定が全て正常に動いていますね。
コンソールから抜けましょう。
> exit
コミットしとこ
以上でカスタムバリデーション設定は終了です。
ここまでの変更をコミットしておききます。
root $ cd api
api $ git add -A
api $ git commit -m "add_email_custom_validation"
api $ cd ..
root $ # 戻っておく
まとめ
今回はユーザーのemail
カラムにカスタムバリデーションを設定しました。
バリデーションファイルを「lib」ディレクトリ以下に置いた場合、モデルファイルにrequire
を設定してファイルを読み込みます。
user.rb
require "validator/email_validator"
ファイルが多くなってきた場合には
application/rb
config.autoload_paths += %W(#{config.root}/lib/validator)
これよくつまづきますからねー。要メモです。
次回は?
ユーザーのデモデータ、seedデータを投入していきます。
ユーザーデーブルにそれらしいデータが入りますよ。
お楽しみに!
最終的なコード
つまづいた方はこちらのコードをコピペしてください。
api/app/models/user.rb
require "validator/email_validator"
class User < ApplicationRecord
before_validation :downcase_email
# gem bcrypt
has_secure_password
# validates
validates :name, presence: true,
length: { maximum: 30, allow_blank: true }
validates :email, presence: true,
email: { allow_blank: true }
VALID_PASSWORD_REGEX = /\A[\w\-]+\z/
validates :password, presence: true,
length: { minimum: 8 },
format: {
with: VALID_PASSWORD_REGEX,
message: :invalid_password # 追加
},
allow_blank: true
## methods
# class method ###########################
class << self
# emailからアクティブなユーザーを返す
def find_activated(email)
find_by(email: email, activated: true)
end
end
# class method end #########################
# 自分以外の同じemailのアクティブなユーザーがいる場合にtrueを返す
def email_activated?
users = User.where.not(id: id)
users.find_activated(email).present?
end
private
# email小文字化
def downcase_email
self.email.downcase! if email
end
end
api/lib/validator/email_validator.rb
class EmailValidator < ActiveModel::EachValidator
def validate_each(record, attribute, value)
# text length
max = 255
record.errors.add(attribute, :too_long, count: max) if value.length > max
# format
format = /\A\w+([-+.]\w+)*@\w+([-.]\w+)*\.\w+([-.]\w+)*\z/
record.errors.add(attribute, :invalid) unless format =~ value
# uniqueness
record.errors.add(attribute, :taken) if record.email_activated?
end
end