【Rails】開発・テスト・本番環境の全てにユーザーSeedデータ投入する
  • 2019.11.16に公開
  • SPA開発
  • 7. Userモデル開発
  • No.5 / 6
「SPA開発」では、Nuxt.js v2.14未満が使用されています。 Nuxt.jsはv2.13~14で大きなバージョンアップがありました。それに伴い、書き方も大きく変化しています。 v2.14以上で書かれた「SPA開発」の続編は、カテゴリー「 Udemy 」 で公開しています。

今回達成すること

今回は、開発環境、テスト環境、本番環境それぞれにseedデータを投入します。

seedデータとは

seedデータとは、データベースに投入する初期データのことです。

この初期データの投入は、db/seeds.rb から操作します。

seeds.rbの設計

今回のアプリでは、環境ごとに参照するディレクトリを変更し、seedデータを切り替える設計となります。

  • 開発環境、テスト環境 => db/seeds/development 以下のseedファイルを読み込む
  • 本番環境 => db/seeds/production 以下のseedファイルを読み込む

開発、テスト環境と本番環境で投入するデータを切り替えることができるので実務での活用にオススメです。

db/seedsのディレクトリ構造
db/seeds
├── csv_files
├── development
└── production

seeds.rbはこのようになります。

db/seeds.rb
table_names = %w()

table_names.each do |table_name|
  environment = (Rails.env == "test") ? "development" : Rails.env

  path = Rails.root.join("db/seeds", environment, table_name + ".rb")
  if File.exist?(path)
    puts "#{table_name}..."
    require path
  end
end
  • table_names = %w()

    Rubyの%w()を使い、配列を作成しています。

    ここには、seedファイル名と一致する文字列を入れます。

    users.rbファイルの場合 => users と入れる。

  • (Rails.env == "test") ? "development" : Rails.env

    Rails.env には、

    • 開発環境の場合「development」
    • テスト環境の場合「test」
    • 本番環境の場合「production」

    の文字列が格納されています。

    この文字列と一致するディレクトリ名をファイルパスとして渡し、seedファイルを読み込みます。

    なお、テスト環境の場合は「development」を参照するように設定しています。

開発環境にユーザーseedデータを投入する

開発環境にユーザーseedデータを投入します。

db/seeds/developmentディレクトリにusers.rbを作成しましょう。

ターミナルでコマンドを実行します。

myapp $ touch db/seeds/development/users.rb

users.rbにユーザーデータ作成のコードを書く

作成されたusers.rbを編集します。

この書き方は、ユーザーEmailの重複を禁止しているときに役立ちます。

既にユーザーが存在すれば何もせず、新規ユーザーの場合のみseedデータに保存するため重複エラーを吐き出しません。

db/seeds/development/users.rb
10.times do |n|
  user = User.find_or_initialize_by(
    email: "user#{n+1}@example.com",
    activated: true
   )

   if user.new_record?
     user.password = "password"
     user.save!
   end
end

puts "users = #{User.count}"
  • 10.times do |n|

    Rubyのtimesは、先頭に渡した整数の数だけループを行います。

    nには0から1ずつ増えていく数値が渡されます。

  • find_or_initialize_by

    渡された引数でユーザーを検索し、取得します。

    上記の場合emailが同じ、かつactivated: true のユーザーを取得しています。

    もしユーザーが見つからなければ、User.new を実行します。

  • user.new_record?

    上記でUser.new されたユーザー、つまり新規ユーザーのみにpasswordを設定し、save!で保存しています。

seeds.rbにusers.rbを読み込むように設定する

users.rbを読み込むようにseeds.rbを編集しましょう。

作成したファイル名から .rb を削除した名前をtable_namesに追加します。

db/seeds.rb
table_names = %w(
  users
)
...

seedデータを投入するコマンドを実行する

ターミナルから下記コマンドを実行してください。

myapp $ rails db:seed

データベースに保存されたデータを全て削除して、もう一度入れ直す場合は reset コマンドを実行してください。

myapp $ rails db:reset

ターミナルにこのように出てこれば成功です。OK!

users...
users = 10

開発環境のユーザーデータを確認する

確認はrails consoleから行います。

myapp $ rails c

ログインできたら、consoleの表示を見やすくHirbコマンドを実行します。

gem 'hirb'とgem 'hirb-unicode'を使っています

irb(main):001:0> Hirb.enable
=> true

ユーザー一覧を表示してみましょう

irb(main):002:0> User.all

作成した10人のユーザーデータが表示されました。

+----+----------------+----------------+-----------+-------+----------------+---------------
| id | email          | password_di... | activated | admin | created_at     | updated_at     
+----+----------------+----------------+-----------+-------+----------------+---------------
| 1  | user1@examp... | $2a$12$ZKJq... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 2  | user2@examp... | $2a$12$hmUu... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 3  | user3@examp... | $2a$12$cChn... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 4  | user4@examp... | $2a$12$zhNB... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 5  | user5@examp... | $2a$12$4bvY... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 6  | user6@examp... | $2a$12$SvAl... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 7  | user7@examp... | $2a$12$ciqk... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 8  | user8@examp... | $2a$12$PaQm... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 9  | user9@examp... | $2a$12$GVK2... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
| 10 | user10@exam... | $2a$12$pDRY... | true      | false | 2019-11-16 ... | 2019-11-16 ... 
+----+----------------+----------------+-----------+-------+----------------+---------------

consoleから抜けましょう。

irb(main):003:0> exit

以上で開発環境のユーザーseedデータの投入は完了です。

本番環境用のseedファイルをコピーしとく

本番環境のseedデータはdb/seeds/productionディレクトリ内で管理します。

先ほど作成したusers.rbをそのまま利用します。

productionディレクトリにコピーしましょう。

myapp $ cp db/seeds/development/users.rb db/seeds/production
  • cpコマンド

    cp コピー元のファイル名 コピー先のディレクトリ名

    コピー先のファイル名を書き換えない場合は、上記のようにディレクトリを指定するだけでコピーできます。

最終的なseedsディレクトリはこのような構造になりました。

db/seeds
├── csv_files
├── development
│   └── users.rb
└── production
    └── users.rb

テスト環境を整える

テストには結果をいい感じに表示してくれるGem minitest-reporters を利用します。

セッティングの前に最新のv1.4.2にバージョンアップしておきましょう。

Gemfile
group :test do
  # gem 'minitest-reporters', '~> 1.1.9'  # 削除
  gem 'minitest-reporters', '~> 1.4.2'  # 書き換え
end

バージョンアップのコマンドを実行します。

myapp $ bundle update

minitest-reportersがバージョンアップできたか確認してみましょう。

myapp $ bundle list minitest-reporters 

/Users/ユーザー名/rails/アプリ名/vendor/bundle/gems/minitest-reporters-1.4.2

v1.4.2。OKですね。

gem list とbundle list の違いってなんだろなと思って調べたら、この人が分かりやすく解説してくれていました。

bundle install --path vendor/bundleと、bundle listとgem listの違いについて - Qiita

gem list => グローバルにインストールされたgemの一覧

bundle list => プロジェクトで管理されているgemの一覧

だそうです!

minitest-reportersのセットアップ

minitest-reportersを利用するために、test_helper.rbにセットアップコードを追加します。

test/test_helper.rb
# 追記
# gem 'minitest-reporters' setup
require "minitest/reporters"
Minitest::Reporters.use!


class ActiveSupport::TestCase

有効になったか確認してみましょう。

rails testを実行してみます。

myapp $ rails t

rails t は rails testコマンドの省略形です。

いい感じにテスト結果を表示してくれました!

2019-11-16 16-14-35

テスト環境にユーザーseedデータを投入する

テストに使うseedデータは、test/fixtures ディレクトリ内にあるymlファイルで作成することができますが、このymlファイルで一つ一つテストデータを作成するのは非常に非効率です。

そこで、テスト環境で使用するデータベース「test.sqlite3」にseedデータを投入します。

test_helper.rbからseeds.rbファイルを実行することで実装できます。

test/test_helper.rb
# 追記
# seed data loading
load "#{Rails.root}/db/seeds.rb"

class ActiveSupport::TestCase
  # fixtures :all コメントアウト、もしくは削除する
end

追記が完了したら、testコマンドを実行してみましょう。

myapp $ rails t

users...
users = 10

「users = 10」が表示されれば、seeds.rb が呼び出されている証拠です。

test.sqlite3にログインし、テストデータを確認する

test.sqlite3にログインするには、sqlite3コマンドを使用します。

myapp $ sqlite3 db/test.sqlite3

usersテーブルの中身を確認するには、select文を使います。

sqlite> select * from users;

1|user1@example.com|$2a$04$jPUtoXtle6b8G4swk65yOuogj9cTRNt6DVdRskKEhz0aTdm7ctTqS|1|0|2019-11-16 16:55:35.512812|2019-11-16 16:55:35.512812
2|user2@example.com|$2a$04$cMpovm1e7GINBdjQ9T688.r7cwyOsYq3rhjVZ42tBpvodRBRtWqxq|1|0|2019-11-16 16:55:35.522510|2019-11-16 16:55:35.522510
...

つらつらとユーザーが10人表示されました。

これでtest.sqlite3にユーザーデータが投入できました。

sqlite3から抜けます。

sqlite> .q

test.sqlite3からユーザーデータを呼び出すには?

通常のRailsとなんら変わりありません。

例えばアクティブなユーザーを1人取得してみましょう。

test/test_helper.rb
class ActiveSupport::TestCase  
  def init
    @user = User.find_by(activated: true)
  end
end

この init メソッドをuser_test.rbから呼び出します。

test/models/user_test.rb
class UserTest < ActiveSupport::TestCase
  def setup
    init
  end
end

test_helper.rbのinitを呼び出すことによって、@userで定義したインスタンス変数が利用できるようになります。

試しにテストを書いてみましょう。

test/models/user_test.rb
require 'test_helper'

class UserTest < ActiveSupport::TestCase

  def setup
    init
  end

  test "sqlite3_test" do
    assert_not_nil @user
  end

end
  • assert_not_nil

    引数に渡されたオブジェクトが存在する(nilでない)場合にテスト成功となります。

テストコマンドを実行します。

myapp $ rails t
...
1 tests, 1 assertions, 0 failures, 0 errors, 0 skips

ちゃんと通りましたね。@user はnilでないということが証明されました。

本番環境にユーザーseedデータを投入する

本番環境にseedデータを投入するには、現在のコードをHerokuにアップし、Heroku側でrails db:seed コマンドを実行すればOKです。

ここまでの変更をHerokuにpushする

コミットして、ブランチを作成している方はマージしましょう。

myapp $ git add -A
myapp $ git commit -m "set_user_seed_data"
myapp $ git checkout master
myapp $ git merge user_modeling (ここはご自身のブランチ名)

BitbucketとHerokuにpushしましょう。

myapp $ git push
myapp $ git push heroku

Herokuデータベースの初期化

Herokuのデータベースをリセットしてまっさらな状態にします。

myapp $ heroku pg:reset DATABASE

 ▸    WARNING: Destructive action
 ▸    postgresql-parallel-50057 will lose all of its data
 ▸    
 ▸    To proceed, type spa-myapp8 or re-run this command with
 ▸    --confirm spa-myapp8

> spa-myapp8 (ここにご自身のアプリ名を入れてEnterします)

Herokuデータベースの作成とseedデータの投入

続いてマイグレーションを実行してユーザーテーブルを作成します。

myapp $ heroku run rails db:migrate

最後はseedデータを入れます。

myapp $ heroku run rails db:seed

Herokuのデータベースを確認する

Herokuのデータベースにユーザーが作成されたか確認してみましょう。

Heroku consoleにログインし、User.allでユーザーデータを確認します。

myapp $ heroku run rails c

irb(main):001:0> Hirb.enable
=> true

irb(main):002:0> User.all

開発環境と同じようにユーザーが表示されましたね。これで本番環境にもユーザーが作成されました。

Heroku consoleから抜けましょう。

irb(main):003:0> exit

もう一度、ブランチに入っとく

次回はユーザーモデルのテストを書いていきます。

ブランチを作成していた方は、先ほどマージしたブランチにもう一度移動しておきましょう。

myapp $ git checkout user_modeling
myapp $ git branch
	...
* user_modeling

まとめ

今回は以下のことを実装しました。

  • 開発環境にユーザーseedデータの投入
  • gem 'minitest-reporters'のセッティング
  • テスト環境のデータベース「test.sqlite3」にseedデータの投入
  • Herokuの本番環境にseedデータの投入

サクッと進みましたか?

今回は以上で。

さて、次回は?

次回はユーザーモデルのテストを書いていきます。

バリデーションが正しく実装されているかチェックしましょう。

ユーザーモデル開発完了まであと少し!

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